とある暗室にて…。。。

バイト中、とある暗室に入ることがあった。
そこにはお客様と共に入る。そして、俺はそこの安全確認係。


アトラクションが始まり、係専用の席に着いた俺。
そしてお客様がそのアトラクションを楽しんでいるまっ最中、俺はお客様の居る後ろの方から、何かを感じ始めていた。
…そこでふと、以前休憩中に不思議ちゃんと霊感の話をしていた時の言葉が蘇る。


「造った時に御祓いしたらしいんだけれどね、未だに…。。。」


なんとなく俺は腕時計で時間を確かめた。
まだしばらく、アトラクション終了の時間まで時間があるようだった。
そう思って顔を上げた瞬間、自らの肩が椅子の背もたれに押さえつけられるような感覚に陥った。
…どうにも動かせない…身体が動かない。。。


それからどの位だったろう…確か数十秒ほどだったろうか…。。。
ようやく力が抜け、身体を動かせるようになると、最後列の方に目を向けると…。。。


…左端、薄っすらと見える、人影。
こちらを睨むようで、笑っているような不気味な表情。ぼやける胴体。
2人居た。女性と男性。カップルなんだろうか。
…そして反対側にも気配を感じる。多分一人。


ぞくっとした。
気配を後ろからも感じたのだが、流石に振り向くことは出来なかった。


…数分後、アトラクションが終わり、照明をつけた。
勿論、お客様の前で顔に表すことは出来ないので、無理にテンションを上げて表情を装った。
いつも以上に、過剰に装った。


「ハイ、ありがとうございました〜!!お帰りの際、お出口は右側手前の扉からとなっております。お手回り品、お忘れ物なさいませんようご注意下さい。また…(以下略」


最後の案内を終え、全てのお客様が暗室から出られた後、次回の準備をしながら何度も繰り返し思い出していた。
そしてその日、俺はそれから何度も同じ場所で同じ仕事を続けていた。
…その後に起きた事は語らないでおこう。


…そんな、とある暗室でのお話。


※これは事実に極めて近いフィクションとなっております。皆様もホラー系アトラクションには十分気をつけましょう。