原風景。
ぼやっとした輪郭すら掴めない話。
まあ見ても徳にはならないし、興味がなければ無駄なだけ。
今あるこの景色が10年後変わっても、きっとどこかにある景色。
それはいくつかあるようで、実は全然なかったりする。
たったひとつ、古くから続いてきたその場所。
なんとなくがなんとなくで、確証なんてない。
ただただあの辺り、そんな感覚。
鮮やかで鄙びた、不可思議な綺麗さ。
どこかで取り残され、でもそれだけでない。
相対的な絵に現状を見た今も惹かれている。
…そんな忘れられない風景。
行き来した道。
人工物に囲まれたなかで、それを感じさせない。
四季の移り変わりを実感し、植物の変化が手に取るようにわかる。
ふと、此処はどこなんだろうか。
観光地でもなく、何があるわけでもない。
ただそこには人の生活があって。
でも造られたものを感じさせない何か。
芽や草、花や木に自ずと向かってしまう目。
…ふと歩きたくなる風景。
ふらふらと歩く。
目的がなければいつもそんな一人散歩。
気づけば10kmも歩いてた、なんてこともざらにあった。
残したいと思う日はカメラを持って。
何気ない街角。
気づけば立ち止まり、シャッターを切る。
調べるもなく、赴くままに歩みを進める。
彷徨って、あてもなくただ彷徨って。
結局撮れない日もある。
歩くことだけに一日を潰す。
こんなことに意味があるか、問いかける。
意味のない一日に呆れ、何のやる気もおきない。
…しかしまた繰り返す。
またそんな日がきっとくる。