昔あった、懐かしいこと。
昔のこと。
だいたい10年ほど前のことだろうか。
地元の駅にはバスの転車台があり、バス乗車場はバスに対して水平に長い長方形(両端が半円)で、島型のような一段高いつくりになっていた。
当時バスを待つ人たちは、少しでも詰めて並んでその上で待とうとしていた。
雨の日は屋根がその部分にしかないために、もっと詰めあって待っていた。
1mも無い横幅に、待っている人の列は3列ほどできる。そんな感じ。
それは誰も言わないけれども、常識のようになっていた。
数年後、ロータリーが完成してそこからバスが出るようになった。
転車台は撤去され、例のバス乗車場も無くなった。
あれほどに普通だった並び方も、段差がなくなったせいかは分からないが変わり、ロータリーに沿って1列で並ぶようになった。
雨の日でも、当たり前のように屋根の無い場所で並ぶようなこともでてきた。
個人的には、とても悲しい事だと思う。
人と人とが助け合う関係が薄くなったような気がして。
昔を思い出す、過去のものになってしまったことが。
このことを書こうと思ったのは、先日の雨の日。
バス待ちの最中。俺はたまたま屋根の端のほうで待っていた。
何故か自然と昔の並び方をしていた。
今ではあの段差はないのだけれど、それが普通のような気がして。
今ではそれを知らない人も大勢いるだろう。(実際に少しいたから、そうであろう)
けれど、そんな昔の良いところを守りたい。
古き良き時代。
不便があっても、使い辛くても、そうであるからこそ生まれるものがある。
便利になればなるほど、そういうものは失われていくのかもしれない。