本当に伝えたい事

 それが例え…最後になってしまっても。

 俺は伝えることが出来ない。

 ちゃんと伝えて別れたい。
 …でも、そんなことが出来ない。

 口数が少ない、近寄りがたい人。
 …そんな風に見られてる時。もっと話したくて…仕方なかった。

 まるで興味のないように見せかけてた、こと。
 …それが、違う人を想っているように見えてたこと。
 本当に…想っていた人に、泣かれてしまったこと。

 こんな俺だから、本当の事を言えなかった人。
 何もしてあげられなかった人。

 隠して…隠し続けてきた、本心。
 それは、そんな弱みを見せてしまったら壊れる…と思ったから。
 自分も、相手も。

 本心を隠し続けて失った…人、人。
 踏み出した一歩をまた戻ったりもした。…ゴメンな。

 もっと…アノヒトには本当の自分を見てもらいたかった。
 アノヒトとの間に辛い過去はない。全て楽しかった。
 こんな今の、崩れた自分を見てもらいたい。
 …それで軽蔑されてもいい。

 本気で、周りなんか関係なく…自分の意思だけで想えた人だから。
 …それ以外の人…には悪いけど、アノヒトだけは…特別だった。

 他は左右された。噂とか、そんなので。
 …その流れで…俺は底に落ちた。一昨年から始まった、闇の時代。

 アノヒトには…もう逢えない。
 殆ど…98%くらいの確率で…逢えない。

 心に残る、アノヒトのコトバ。
 いつまでも、時を刻んでいても…残ってる。

 打つ事を止める事が出来ない。
 未だに、鮮やかに蘇る…想い。
 今思えば…あんなに想える人が居た事が信じられない。

 外見なんて、気にならなかった。
 ただ、話していると落ち着く事ができた。
 …いつからだろう。コノヒトを守りたいって思い始めたのは。

 それだけは思い出せなかった。

 でも、俺はやはり傷つけた。
 そういう風にしか…接する事が出来なかった。

 「親しくなると、傷つけてしまう。」

 …昔から、それが俺だった。

 辛かった。目の前に居る、コノヒトにさえ見せられない自分。
 もどかしかった。
 でも、壊れてしまうような気がした。

 止め処なく打たれる文章。
 過去を、こんな風にまとめる事しか出来ない俺。

 でも、打たなければ…何も分かってもらえない気がするから。
 …その人たちが、見ていないと分かっていても。