涙…

 あの夜の事。あの出来事の事。

 俺には何にも出来なくて、ただ流れゆくままだった。
 そして気付いた時には全てのモノを失った。

「あんな事にはもうなりたくない。」

 いつ迫るかもしれない恐怖が頭をよぎって。
 怖くて…苦しくて。
 残ったものは違う世界の自分で。

 リスカも何も…出来ない。そこにはあの人が居るから。
 やっぱ、あの人の影は消えなくて…
 暗闇の中、独りで居ると思い出して…
 消える事はない。

 あの日の記憶はいつまでも消えなくて…
 無心になろうとすると浮かび上がる。
 あんな終わりかた…失い方…繰り返したくなくて。

 でも、今の自分なら繰り返しそうで。
 怖くて、怯えてて…泣くしか無くて。。。